２０２０年８月３１日を以て閉店した福島市の老舗百貨店「中合福島店」の空きビルに、福島市を基盤にチェーン展開するスーパーマーケット「いちい」の出店予定ということが地元新聞により発表されました。

それでは中合福島店の閉店から「いちい」の出店予定までの経緯について地元新聞報道の内容を元に説明していきたいと思います。

福島市の老舗百貨店『中合福島店』について

１８７４年（明治７年）福島市で呉服店として開業し１９７３年に現在の福島駅前に移転。

長年にわたって福島市の商業施設のシンボルとして中心市街地に賑わいをもたらし、多くの市民から愛され、親しまれた百貨店だった。

今後、JＲ福島駅東口の再開発に伴い２０２２年度から店舗ビルの解体予定であることや賃貸借契約が切れることが主な閉店決定の理由のようだ。

中合福島店の閉店により福島県内にある百貨店は郡山市の「うすい百貨店」のみとなる。

２０２０年８月３１日に閉店した中合福島店

出店予定が明らかになったスーパー『いちい』について

スーパー「いちい」は福島市に本社を置く地元密着型の老舗スーパーマーケットチェーンである。

主に福島県中通り北部の福島市を中心に１２店舗をドミナント出店しており、県中地区にも２店舗展開している。

近年は県中地区に３店舗展開しているスーパーマーケット「鎌倉屋」とも業務提携し過半数の株式取得により子会社化した。

２０２０年４月には旧コマレオプラザに出店したドン・キホーテ 福島店内にもテナント出店し、また、スーパーマーケット事業以外にもペット用品販売事業、ファーストフード店、食堂などのフランチャイズ事業も行なっている。

今年の4月にオープンしたドン・キホーテ福島店

地下１階にテナント入居しているいちいの新業態店舗、ディスカウントスタイルのロシナンテマーケット

今回の地元新聞の報道記事

木幡浩福島市長は１５日、閉店した中合福島店の空きビル（辰巳屋ビル）の１階を商業スペース、２階を交流・展示スペースとして活用する事業を正式発表した。１階の商業スペースはスーパーマーケットを運営する「いちい」（福島市）が入居予定であることも明らかにした。１２月中旬のオープンを目指す。

市はいちいへの家賃補助などの予算３４００万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を、２０日に開かれる市議会緊急会議に提出する。市によると、広さ約１９００平方メートルの１階部分は食品・日用品を扱うスーパーマーケットとなり、地域の農産物や特産品なども販売する。約２１５０平方メートルの２階部分は別の民間業者に運営を委託し、古関裕而ゆかりの展示を行うほか、復興をＰＲする展示、観光のＰＲ、学生の交流などが可能なスペースにして駅前のにぎわい創出を図る。

辰巳屋ビルは解体され、商業施設や公共の交流・集客拠点施設などを備えた再開発ビルが建設される予定。辰巳屋ビルの活用は、解体が始まる直前の２０２２年２月までの予定だ。

木幡市長は「古関裕而絡みでお客さんが増えており、来年は東京五輪で世界に福島が発信される。そういう時期に一番目立つ所を空きビルにしておくのは残念なこと。わずか１年３カ月という期間だが、（活用を）決断した」と語った。

引用元：みんゆうネット

まとめ

今回の報道された内容を見てみると考えさせられる点がいくつかあります。

一つは、一民間企業に家賃補助をする為、福島市民の血税３４００万円が投入されること。

もう一つが解体される２０２２年２月までの約１年３ヶ月といいう短い期間の出店であること。

賛否両論あると思われますが、福島市に限らず地方都市の中心市街地活性化は大きな課題となっており、福島市に隣接する伊達市郊外には大型商業施設の建設計画が進んでいます。

福島市としては駅前中心商店街の衰退、空洞化が懸念される現況や、２０２１年に福島市で開催されるオリンピックの予選大会、福島市出身の作曲家夫婦がモデルのNHK朝ドラの盛り上がりなどで、１日でも早く駅前一等地の空きテナントを解消したいという思いも理解できます。

いちいへの家賃補助などの予算３４００万円を盛り込んだ一般会計補正予算案がどうなるのか、市民の考えに注目が集まります。

ちなみに「いちい」は「まだ正式契約前ということで話せることがない」とのことです。

最後にJR福島駅東口再開発計画は２０２２年に建物の解体に着手。跡地に複合ビル３棟を建設し２０２６年の開館を目指す計画です。